最強の戦略人事

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『最強の戦略人事』リード・デシュラー

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内容

組織システムの要素

組織システムの各要素とは、(1)業務プロセス、(2)構造とガバナンス(統治)、(3)情報と指標、(4)人材と報酬、(5)継続的な改善、(6)リーダーシップと企業文化の 6つです。

 

企業の競争力

日々の業務が変わらなければ、出せる結果は変わりません。

差異化のための活動が競争力のある差異化を生み出すのです。

企業の競争力は、どのような活動を選択するか、そしてその活動にどれだけの経営資源を配分するかで決まります。

 

組織アラインメントを成功させる原則

1.トレードオフ(捨てるもの)を含め、戦略を明確にする。自社は競合企業には提供できないどのような独自性のある価値を提供し、どのような価値を提供しないのか。

2.戦略とそれに伴うトレードオフを実現するために組織に必要な戦略的能力を書き出す。

3.市場における差異化を作るための、新しく独自性のある仕事の進め方とはどのようなものかを描き出す。

4.業務と人材を部門、チーム、事業部、Job単位にグルーピングし、どれが戦略上重要か、どれが差異化能力の構築・強化の観点で重要かを明らかにする。

5.組織内で実行する日々の仕事のやり方が変わらなければ、市場での結果も変わらないので、既存の仕事のやり方を見直す。

6.誰が何に責任を負っているのかについての混乱を最小限に抑え、必要な作業を達成するための決定権を明確にする。

7.求められる成果や行動を促すための測定指標を設計する。

8.戦略的な影響を明確に意識した上で、投資すべきテクノロジーに優先順位をつける。

9.最終的な目標の達成に必要であれば、人材登用の選抜プロセス、従業員の育成方法、業績管理システム、報酬システムを刷新する。

10.組織学習に関わる慣習を考慮し、パフォーマンスの継続的な見直しと改善が確実に行われるようにする。

11.戦略的に重要な価値観や規律などの文化的要素を特定する。リーダーの行動が、大事にしている組織文化的な信念を強化するために機能しているかどうか精査する。

12.組織アラインメントモデルを使用し、業務プロセス、構造、その他の管理システムを含む組織要素の選択肢全体を検討する。組織構造は、成功する組織のある一面に過ぎないことを覚えておくこと。

 

組織構造

組織構造は限られた選択肢の中から無理やり選ぶようなものではないことに気づきました。

その企業や組織の固有のニーズに合わせて、独自にデザインされ創り上げられるべきものなのです。

 

同業他社とは違う組織構造を持つことで、市場における差異化が実現できていることもあります。

独自の戦略に整合する独自の組織構造をテイラーメイドで作る、これが成功要因2です。

 

組織アラインメントに従業員全員を参加させるという戦略的決断を下すことで、結果はより完璧なものとなり、実行はより早く進むでしょう。

そして何よりも、アラインメントを志向し、個人の利害というレベルの関心事を超えて、組織を俯瞰的に見ることのできる人材のネットワークが確立されます。

 

組織図の箱を構成する前に、箱に入る名前を先に決めてしまうのは、個々人の強みを組織の戦略に活かす機会をみすみす見逃してしまいます。

人材のアラインメントが不完全な場合、潜在能力を下回る結果しか得られません。

組織のアラインメント・リーダーは、適所適材の考え方 =「人材は構造に従う」ことを理解しています。

 

「組織は、未来の姿を描いて、それに整合させる必要があるということです」と、 Abbottは語ります。

「ほとんどの場合、組織は、これから進む方向ではなく、過去に合わせてアラインされているのです」

 

ミクロアラインメント

ミクロアラインメントは、リーンシックスシグマのような典型的な継続的改善手法への架け橋にもなるものです。

この作業では、組織内のプロセス設計者の才能が発揮されます。

ミクロアラインメントには、継続的に改善していく上で最も重要な2つの事柄、プロセス改善と指標設計が含まれますが、それだけではありません。

情報システム設計、業務設計なども含まれます。

マクロアラインメントが新しい組織能力を定義し、有効にするのに対して、ミクロアラインメントはその組織能力を生み出すDNAレベルのプロセス、構造、慣行をアラインします。

 

真に難しいのは、戦略の変更よりも戦略の変更を取り込むために組織の諸要素を整合的に変えていくことです。

プロセス、構造、測定指標、情報システム、人事システム、継続的な改善のルール、企業文化などすべてのものが、新しい戦略コンセプトを中心にまとめ上げられなければ、皆さんが描いた戦略は実行されず、期待していたほどの成果は得られません。

 

資源投入

ジョブズはイベントの最後に、ホワイトボードの前に立ち、「次に我々が取り組むべき上位10件のテーマは何だろう?」と尋ねるのです。

参加者は競って提案をリストアップしていました。

ジョブズはそれらを書き留め、つまらないと判断したものは線を引いて消していきました。

あれこれ考え抜き、グループは上位10件のリストを完成させます。

すると、ジョブズは下位7件に斜線を引き、「我々が実行できるのは3つだけだ」と言ったのです。

 

投資すべきではないところに投資すると、本来投資すべきものに投資できなくなります。

 

複雑さの抑制

製品、サービス、経験を統合し、競争力のある価値提供を行う必要がある場合には従業員にとって明確で何に集中すれば良いかがわかるよう、以下のようなアクションをとることで、新たな組織能力を獲得するとともに組織の複雑性を解消することができます。

・新しい戦略を展開する上で不可欠な能力をはっきりと明文化する。

・製品の種類または改良・更新頻度を抑制する。

・トレードオフを明確化して周知徹底し、可能な部分はシンプルにする。

・戦略的に必要不可欠ではなくなった(またはもともとそうでなかった)業務から資源を移動する。

・顧客との接点を総合的に調整するために組織が協業しやすいよう、新しい協働促進プロセスやグループを創出する(例えば、季節ごとの商品を設計するために新しく「顧客経験グループ」を設けた大手小売業者のように)。

・自分の領域を超えて考え、境界を越えて手を差し伸べられる並外れた人材をリーダーのポジションにつける。過去のリーダーシップ・コンピテンシーは、もはや将来のニーズには合わない可能性がある。

・(個々人のではなく)全体の業績を上げることを意識させる評価基準やインセンティブを作り、支援的な役割を果たす人々や製品を冷遇しないようにする。

・顧客情報を収集・保管し、戦略的なタッチポイントで利用できるようにするためのシステムや業務ルールを整備する。

・ソリューションの組み立て、チームでの販売、顧客とのつながり、その他について新しい方法で従業員を訓練する(顧客を「ゲスト」として接するディズニーの従業員のように)。

 

面白かったポイント

戦略→組織設計→オペレーションを整合することの重要性を説いた本。

 

組織設計は、戦略立案、オペレーション改革とは別の意味で難しさがある。

組織設計と人事は密接に関わるので、ドライに改革できない部分もある。

 

大企業やベンチャーにいたが、戦略に合わせた組織変更はしょっちゅう行っていた。

環境の変化に対応する、実行力を上げるためにも組織構造設計のポイントは押さえておきたい。

 

バスに乗せる人を決める、乗せる位置を決めることが大事だとよく言われているが、バス全体の設計と座席の設計は常に調整しなければならないということ。

 

満足感を五段階評価

☆☆☆☆

 

目次

序 章 アラインメントと組織の多面性
第1章 組織の構造化へのアプローチ
第2章 最適な組織を設計する
第3章 誰をアラインメントプロセスに巻き込むのか?
第4章 人材配置の意思決定
第5章 アラインメントを推進する
第6章 アラインメントによって目標を達成する
第7章 シンプルさと複雑さを受け入れる
第8章 アラインメントのタイミング
終 章 経営にとっての最高の人事になる

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