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問いのデザイン

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『問いのデザイン』安斎勇樹

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内容

新しい関係性を構築する四つのステップ

①溝に気づく

②溝の向こうを眺める

③溝の渡り橋を設計する

④溝に橋を架ける

 

何か「問題」があるとすれば、それはあくまで当事者たちのコミュニケーションを通して「これが問題であると合意された現実である」、と考えるのです。

 

ここで生みだされたのとまったく同じアイデアを、第三者のコンサルタントが「このプロダクトを開発すべきだ」と、コミュニケーションのプロセスを抜きにして一方的に提示しても、それはクライアント自身のコミュニケーションによって生みだされた現実ではありませんから、まったく違った意味になるでしょう。

“問題”とされている現実を解決するためには、当事者自身が対話を重ねて、現実を再構成するしかないのです。

 

問いの基本サイクル

発問にはいくつかの分類があり、ここでは詳しく紹介しませんが、たとえば教科書上に直接書いてある内容を読み取らせるための「事実発問」や、教科書に書かれたことから書かれていないことを推測させる「推論発問」、それに対して生徒自身の意見や態度を答えさせる「評価発問」などがあります。

これらを組み合わせて授業を展開するとなれば、たとえば「浦島太郎は、竜宮城から何をお土産に持ち帰ったか?(事実発問)」「玉手箱の中身は、何だったと思うか?(推論発問)」「あなただったら、玉手箱を開けるか?それはなぜか?(評価発問)」といった具合です。

 

目標を精緻化する三つのポイント

(1)期間によって、短期目標・中期目標・長期目標にブレイクダウンする

(2)優先順位をつけて、段階的に整理したり、複雑な目標を分割する

(3)目標の性質によって、成果目標・プロセス目標・ビジョンの3種類に整理する

 

目標の阻害要因

①そもそも対話の機会がない

②当事者の固定観念が強固である

③意見が分かれ合意が形成できない

④目標が自分ごとになっていない

⑤知識や創造性が不足している

 

目標の再設定

目標を別の視点から再設定することを、認識の枠組みを転換することから「リフレーミング」と言います。

この時点で、目標の設定に問題がないように見える場合でも、試しにリフレーミングを試みてみることで、より“しっくりくる”目標の設定の仕方が見つかる可能性もあります。

 

リフレーミングのテクニック

①利他的に考える

②大義を問い直す

③前向きに捉える

④規範外にはみだす

⑤小さく分割する

⑥動詞に言い換える

⑦言葉を定義する

⑧主体を変える

⑨時間尺度を変える

⑩第三の道を探る

 

良い課題の判断基準

①効果性

②社会的意義

③内発的動機

 

「自分本位」「自己目的化」「ネガティブ・他責」な視点から課題を設定してしまうと、外部の協力者を得にくいほか、最終的にユーザーや観光客など、課題解決の価値を享受する関係者の視点が抜け落ちるリスクがあります。

多様な関係者にとって建設的な課題を設定するためにも、社会的意義の視点は重要です。

 

ブレインストーミング

ブレインストーミングが失敗に終わるのは、「判断や結論の排除」「自由奔放な意見」「質より量」「アイデア同士の結合と改善」といった 4原則と呼ばれる基本の型が守られていないからだと指摘しています。

質の良いアイデアは大量のアイデアに支えられるという仮定の下、さまざまな角度からたくさんのアイデアを出し、二つ三つのアイデアを組み合わせて新奇なアイデアを増やしていくことが求められるのです。

 

ワークショップ

ワークショップデザインの場合はどうでしょうか。

一言で言えば、その特徴は「経験のプロセス」をデザインしている、と捉えることが可能です。

ここでいう経験とは、人が何かに気づいたり、集団が変化したり、新たなアイデアが創発するような変化のプロセスを指します。

集団が日常の経験から離れて、普段とは異なる視点から定義した課題に思考をめぐらせ、当事者同士で対話をしながら新たなアイデアを生みだしていく。

その過程で、集団がとらわれていた認識と関係性が編み直されていきます。

そのような経験のプロセスを導くのが、ワークショップデザインの本質です。

 

ワークショップ・プログラムの基本構造

①導入

ファシリテーターからワークショップの趣旨と概要について説明し、活動の文脈を設定する。

アイスブレイクと呼ばれる参加者同士の自己紹介の活動を通して、緊張を緩和したり、関係を構築したりする。

また、テーマに基づいて、過去の経験や意見、多様な事例を共有し合う。

 

②知る活動

講義や資料の調査などを通して、新しい情報を収集し、話し合いを通して知識化する。

その知識を使って過去の経験を振り返ったり、後の「創る活動」のための準備をする。

 

③創る活動

4〜5名のグループによる対話を通して、新しい意味をつくりだす。

手や体を動かして、何かを制作する場合も多い。

ワークショップにおけるメイン活動にあたる。

 

④まとめ

つくりだした成果物について発表し共有する。

また、ワークショップの活動を振り返り、経験に意味づけを行い、次に向けたアクションについて検討する。

 

問いを作成するポイント

1探索の対象を決める

2制約を設定する

3表現を検討する

 

問いの制約を設定するテクニック

①価値基準を示す形容詞をつける

②ポジティブとネガティブを示す

③時期や期間を指定する

④想定外の制約をつける

⑤アウトプットの形式に制約をつける

 

足場の問いのテクニック

①点数化

②グラフ化

③ものさしづくり

④架空設定

⑤そもそも

⑥喩える

 

プログラムのタイムテーブル

プログラムを2時間で実施しなければいけないのか、終日かけられるのかによって、ワークショップでできることはだいぶ変わってきます。

プログラムの各パートに使える目安は、使える時間を100%としたら、「導入」に約10~20%、「知る活動」に約20~30%、「創る活動」に約30~40%、「まとめ」に約10~20%を目安に配分すると良いでしょう。

 

良いアイスブレイクの問いのポイント

①固定観念を揺さぶる

②集団の関係性を揺さぶる

③警戒と緊張をほぐす

④テーマと接続させる

 

ファシリテーター

ファシリテーターとは、ファシリテーションをする人、もしくは役割のことを指します。

「ファシリテーション(facilitation)」という言葉は、英語で「促進する」「容易にする」といった意味で、本書の文脈でいえば、企業、学校、地域における課題解決のプロセスを促進したり、容易にしたりする行為を指します。

広く捉えれば、問題の当事者にヒアリングを重ねながら、問題の本質を捉え直し、解くべき課題を定義し、ワークショップをデザインし、課題解決のプロセスに伴走する。

そのすべての営みが、ファシリテーションの全体像と捉えることもできます。

 

ファシリテーターのコアスキル

(1)説明力

(2)場の観察力

(3)即興力

(4)情報編集力

(5)リフレーミング力

(6)場のホールド力

 

情報編集の工夫

①共通点を探る

②相違点を探る

③情報を構造化する

④視点の不足を探る

 

ファシリテーターの芸風

(1)場に対するコミュニケーションスタンス

(2)場を握り、変化を起こすための武器

(3)学習と創造の場づくりに関する信念

 

面白かったポイント

問いのデザインとワークショップの内容がよかった。

後半のファシリテーションと事例は普通。

ワークショップをアイデア出し、共通認識醸成、チームワーク向上のための強力なツールだと感じた。

これをパッケージングして売り出せるかもしれない。

 

満足感を五段階評価

☆☆☆☆☆

 

目次

序論 なぜ今、問いのデザインなのか
1.はじめに
2.「認識」と「関係性」の固定化の病い
3.企業、学校、地域を揺さぶる問いの技法
4.本書の構成:課題とプロセスのデザイン

PartI 問いのデザインの全体像

1章 問いのデザインとは何か
1.1. 問いとは何か
1.2. 創造的対話とは何か

PartII 課題のデザイン:問題の本質を捉え、解くべき課題を定める

2章 問題を捉え直す考え方
2.1. 問題と課題の違い
2.2. 課題設定の罠
2.3. 問題を捉える思考法

3章 課題を定義する手順
3.1. 目標を整理する
3.2. 目標のリフレーミング
3.3. 課題を定義する

PartIII プロセスのデザイン:問いを投げかけ、創造的対話を促進する

4章 ワークショップのデザイン
4.1. ワークショップデザインとは何か
4.2. ワークショップの問いをデザインする
4.3. 問いの評価方法

5章 ファシリテーションの技法
5.1. ファシリテーションの定義と実態
5.2. ファシリテーターのコアスキル
5.3. ファシリテーターの芸風
5.4. 対話を深めるファシリテーションの技術
5.5. ファシリテーションの効果を高める工夫

PartIV 問いのデザインの事例
6章 企業、地域、学校の課題を解決する

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