内容
生産性
生産性とは目標に向かって会社を近づける、その行為そのものだ。
会社の目標に少しでも会社を近づけることのできる行為は、すべて生産的なんだよ。
その反対に目標から遠ざける行為は非生産的だ。
指標
スループットとは、販売を通じてお金を作り出す割合のことだ。
在庫とは、販売しようとする物を購入するために投資したすべてのお金のことだ。
業務費用とは、在庫をスループットに変えるために費やすお金のことだ。
従業員の時間は、直接労働であれ間接労働であれ、アイドルタイムであれ、作業している時間であれ、すべて業務費用だということですね。
失ったお金はすべて業務費用で、売ることのできる投資はすべて在庫になる。
バランスがとれた工場
「『バランスがとれた工場 』とは、世界中のメーカーが目指している工場のことなんだが、つまり、すべてのリソースの生産能力が市場の需要と完璧にバランスがとれている工場のことなんだ。
一つは、『従属事象』と呼ばれる。
一つの事象、あるいは一連の事象が起こるためにはその前に別の事象が起こらなければならないという意味だ。
後から起こる事象はその前に起こる事象に依存している。
従属事象ともう一つの現象、『統計的変動』と呼ばれるんだが、この二つの組み合わせが重要なんだ。
『生産能力』を需要に合わせては駄目だ。
需要に合わせないといけないのは工場の中での製品フロー、つまり流れなんだ。
ボトルネックと非ボトルネックの間の関係、それから工場の運営方法についてはルールが九つあるが、いま言ったことはその最初のルールだ。
もう一度言うが、バランスをとらないといけないのは生産能力ではなくフローなんだ。
ボトルネック
QCをボトルネックの前に置けということでは。
失ったボトルネックの時間は永遠に取り返すことができない。
ボトルネックの実際のコストは、工場全体の総費用をボトルネックの総運転可能時間で割って求めることができる。
まずは、ボトルネックの時間を無駄にしないようにすることだ。
ボトルネックの時間がどのように無駄にされるかだが、一つは昼食の休憩時間中のアイドル状態。
もう一つは、すでに欠陥品となっている部品、あるいは作業員の不注意や作業の管理体制が悪くて、ボトルネックを通る際に欠陥品となってしまう部品にかかる時間だ。
それから、必要のない部品を作ることもボトルネックの時間を無駄にする。
定義上、Yには余剰生産能力がある。
Yをずっと動かせば、また余剰在庫ができてしまう。
しかし今度は仕掛りの在庫ではなく、完成品の在庫だ。
この場合の制約条件は生産過程ではなく、販売力にある。
資材が工場に入ったときから完成品の一部として工場から出て行くまでの時間のことだが、そのトータル時間を四つの段階に分けることができるというのだ。
まずはセットアップ、つまり段取りで、機械や装置などのリソースの準備を行っている間だ。
次はプロセスタイム、つまり処理時間だ。機械や装置などのリソースを使って部品への作業を行う時間で、これを経て部品はその形を変え、付加価値が高まる。
三つ目はキュータイム、つまり部品の処理に必要な機械や装置などのリソースがほかの部品の処理を行っている間、その機械の前で列を作って待っている時間のことだ。
四つ目はウエイトタイム。三つ目のキュ ータイムと同じ待ち時間なのだが 、こちらはリソースを待っているのではなく、完成品に組み立てるのに必要なほかの部品が届けられるのを待っている時間だ。
TOC
TOCでは工場全体の在庫をゼロにするのではなく、ボトルネック工程の前には適切な在庫を置くべきであると教えている。
これは、工場のなかの加工時間には統計的バラツキがあるため、仮にボトルネック工程前に在庫がなく、その前工程のどこかでトラブルが起こって加工時間が余分にかかると、ボトルネック工程が加工を開始しようとした際に加工すべき製品がなくなるからだ。
しかし、ボトルネック工程が少しでも仕事がないために動かないと、工場全体が停止したのと同じことになる。
これによって失われたアウトプットは永久に取り戻せない。
これを防ぐための在庫(バッファー)をボトルネック工程の前に置くのだ。
つまり、TOCでは在庫を最小限にするというのはあくまでもアウトプットを最大限にするという範囲内で行うべきであり、それ以上でもそれ以下でも在庫を持ってはいけないとしている。
自分で考える
染み込んだ習慣ってものは怖いね。
自分たちで考えることもせず、当たり前だと思ってやっている。
だから答えを教えてはいけない、考えるためのヒントが必要なんだ。
自分で試してみないといけないからね。
何も考えずに習慣どおりにやることしかできない人を説得するのに、答えをただ教えてもまったく非効率的だよ。
面白かったポイント
必読書中の必読書。
ザ・ゴールが出版された時にたまたま手に取って読んだ時の興奮が忘れられません。
これまでやってきた仕事はまさにザ・ゴールの実践でした。
本は工場の話ですが、マーケティングや営業、サービス、ITなど、すべての業務機能に適用できる考え方です。
満足感を五段階評価
☆☆☆☆☆