内容
ウォールームの4つのアングル
ズームアウト(Zoom Out)
いつも考えているよりもずっと長いスパンで物事を考え直すものである。
チェンジアングル(Change Angle)
その会社でのタブーを、あえて打破して考えてみようというものである。
典型的なのは、ビジョンや経営理念の見直しであり、従来から当たり前とされてきたことについて、今の時代感を考慮してその継続可否や過不足の検討をおこなうことが多い。
ディープダイブ(Deep Dive)
グローバリゼーション、DX等々、重要性がきわめて高いが、緊急性が低いために「いつか絶対にやらねばならないと思ったまま放置されていること(本当に考えると膨大な工数や調整が必要)」について、グランドデザイン(概要)を短時間でさっと描き切ってしまおうというもの。
まったく未知の領域(答えがないために、合議では解決しない問題)への対応などもこれにあたる。
インサイドアウト(Inside Out)
経営者の頭もしくは心の中にある暗黙の野心やアイディアを引き出し、その言語化を図るものである。
経営者の傘下の部門リーダーが何をやりたいのかを整理するときなどにも活用される。
人材
「優秀な人材」が欲しくない企業はない。
ただ、企業によって、求めている「優秀さ」の種類は違う。
自社が欲しい人材に来てもらいたいなら、自社の価値観を発信しなければならない。
そのためには、自社の価値観(バリュー)をしっかりと定義しておかなければならない。
戦略
戦略は、選択と集中を着眼点に、その企業の「勝ち方」あるいは「勝ち残り方」を考えるものである。
一方で、計画は、戦略で決められたスキームに基づき、どの経営資源をどのような時間軸で割り当てていくのか、そして、その結果どのような時間軸で、どのような業績インパクトがもたらされるのかを整理するもの。
経営計画
一般的な企業では「年次で経営計画を策定し、月次でそれを管理する」(Yearly Planning and Monthly Management)と思う。
しかし、IBMは、かなり以前から「四半期で経営計画を策定し、週次でそれを管理する」( Quarterly Planning and Weekly Management)という形態にしてきていた。
だから普通なら1年に一度の人事異動なども、3カ月ごとにかなり大胆なものが起きる。
「事業計画のギャップを期中に埋める」に限定したものである。
だから、市場がどうのとか、技術がどうのとか、ビジネスモデルがどうかなど、まったく議論しない。
とにかくは、
(1)計画と実績でギャップが生じている真因を洗い出し、
(2)どのような手を打てば計画の目標が達成できるか。
(3)そのアクションを実施するにあたり組織に何を要求するか(どのような助けが必要か)、それだけである。
ナレッジワーカーとスキルワーカー
ナレッジワーカーとは、「期待される成果がはじめに提示され、その達成方法は一任される」という働き方をする人たちである。
一方で、これと相反するのはスキルワーカーである。
スキルワーカーは「手順が与えられ、それを忠実にやれば成果の実現が保証される」という人たちである。
パイプライン管理
パイプライン管理というセールスマネジメントでよく使われる手法をご存じだろうか。
売上高という直接の指標を達成できたかできなかったかを管理するのではなく、その売上げを創出するための先行指標、たとえば、顧客コンタクト、ニーズ把握、提案機会獲得、提案、内定、受注の流れを管理していくものだ。
10のセントラルクエスチョン
- この戦略の成功により、社員はどのような恩恵を受けますか?
- 現在の組織にある課題がすべて解決したとしましょう。あなたの会社は何が実現できているのでしょうか?
- もし、あなたの会社が、今、突如この世から消えたら、誰が悲しむでしょうか?
- あなたの会社や事業が、このままの状態だとした場合、その「X-Day(終焉)」はいつ頃来ますか?
- あなたの会社は新しい戦略を策定されましたが、それにより、どこが弱くなりますか?
- あなたの会社の社員は、自分のお子さんたちを、自分の会社に入れたいと思っているでしょうか?
- あなたの会社でのかつての「南極探検」はなんですか?
- あなたの会社が「世紀の大番狂わせ」をするとしたら、それはどんなものでしょうか?
- あなたの会社の社員が他の会社に移られた場合、その方々は大活躍する予感がありますか?
- 今回の戦略の実現を、既存の組織分掌を考えずにとにかく最適な人間に任せるとした場合、誰にやらせたいですか?
面白かったポイント
戦略系の本ですが、内容はかなり軽めの内容で新人向けです。
満足感を五段階評価
☆☆☆
目次
第1章 戦略立案には本当に3カ月かかるのか
第2章 ウォールーム--少人数、短期間で実施
第3章 ビジョンの意外な戦略性を知る
第4章 人材獲得戦略を「南極探検」「建築家の素養」に学ぶ
第5章 ジャイキリへの挑戦
第6章 経営戦略としての人材を語ろう
第7章 DXはIT化の名称変更か、それとも戦略か?
第8章 戦略に「実行力」を注入する