成長に投資して資本を築く(人的資本、社会資本、金融資本)

まさたい

世界標準の1on1

ビジネス

『世界標準の1on1』スティーヴン・G・ロゲルバーグ

更新日:

内容

リーダーシップ、コラボレーション、コーチング、メンターシップ、フィードバック、コミュニケーション

 

1on1とは

1 on 1とは、「マネジャーと直属の部下との間で定期的に繰り返し行われる、部下の健康状態、モチベーション、生産性、対処すべき問題、優先事項、役割分担の明確化、他の業務との調整、目標設定、他者・チームとの調整、個人の成長、キャリアプランなどについて対話する時間・機会」のことを指します。

このミーティングの目的は、建設的で誠実、そして相手を力づけるコミュニケーションによって部下との関係性を発展・強化させることです。

部下の「実務的なニーズ」に加えて、「個人的なニーズ」に応えることも目的としています。

「実務的なニーズ」とは、部下が効率良く業務を遂行し、優先順位をつけて対応するために必要なサポートのことです。

「個人的なニーズ」とは、部下がリスペクトされている、信頼されている、サポートされている、評価されていると思うことにつながることです。

つまり、思いやりのある態度で接してほしいという部下のニーズのことです。

双方のニーズに対応するのは容易ではありません。

 

1 on 1は、部下の成長・能力開発をサポートする機会です。

部下を成長させることは、有能なリーダーになるために最も重要です。

米国の実業家であるジャック・ウェルチの「マネジャーになる前の成功とは自分自身を成長させることである。マネジャーになった後の成功とは他人を成長させることである」という名言はそれを的確に表現しています。

1 on 1は、部下への投資なのです。

その投資は、あなたがマネジメントする人材を向上させ、組織に豊かな人材をもたらし、あなたを出世させる力になります。

 

1on1の導入

1 on 1を導入する際には、コミュニケーションの工夫が必要です。

情報が適切に伝わらなければ、部下は誤った解釈をして不安を抱くからです。

情報が曖昧なとき、私たちは他者からの情報を手がかりに現実を把握しようとします。

そうすると噂話が力を持ち始めます。

実際、組織内の情報伝達の70%は噂話として行われています。

噂話に真実が含まれていることもありますが、真実のすべては伝わりません。

噂話は伝達されると内容が歪み、重要な情報が省略されたりして、真実から遠ざかる性質があります。

この現象は、伝達連鎖実験と呼ばれる方法で実証的に研究されていますが、子どもの頃に遊んだ「伝言ゲーム」で確かめることができます。

このゲームでは、メッセージが一巡すると、内容はすっかり変わってしまいます。

この遊びは世界中で楽しまれていますから、この現象は普遍的なものだといってよいでしょう。

 

質問

〈1 on 1でマネジャーがすべきベストな質問〉

●何かお手伝いしましょうか?

●最近、調子はどうですか?順調ですか?

●何か、私にしてほしいことはありますか?

●私がサポートできることはありますか?私が提供できることはありますか?

●あなたが直面している問題は何ですか?うまくいっていないことは何ですか?

 

〈1 on 1で部下がすべきベストな質問〉

●何かお手伝いしましょうか?

●私の仕事の出来はどうでしょうか?私にフィードバックを頂けないでしょうか?

●あなたのためにできることはありますか?

●私は何を優先すべきでしょうか?

●私はどうすれば成長(改善)できるでしょうか?

 

なぜ部下のニーズに応えることが重要なのかは、リーダーシップ関連の文献に答えがあります。

リーダーシップ研究は、リーダーの「構造づくり(課題志向)行動(initiating structure(task-oriented)behaviors)」と「配慮(人間関係志向)行動(consideration(relationship-oriented)behaviors)」について検証しています。

「構造づくり行動」とは、何を期待しているかを伝えること、課題や目標の達成を支援すること、役割分担や業務内容を明確化することなどです。

それは、部下の実務的なニーズと関連しています。

一方、「配慮行動」は、リーダーが部下の幸福に対してどれだけ心を配っているのか、部下をリスペクトしているのか、部下をサポートしているのかに関係しています。

それは、部下の個人的なニーズと関連するのです。

研究によれば、「構造づくり行動」はリーダーの職務遂行能力やグループのパフォーマンスと結び付いていること、一方、「配慮行動」はリーダーへの満足感と結び付いていることが分かっています。

さらに、「構造づくり行動」と「配慮行動」の両方が、部下のモチベーションやリーダーの能力に対する認知とも関連していることが明らかにされています。

 

つまり、リーダーは部下の個人的なニーズと実務的なニーズの両方に応えることが大切です。

特に、おろそかになりがちな、部下の個人的なニーズを満たすためには、以下の行動が重要になります(次章で詳しく説明します)。

1傾聴し、共感をもって対話する

2誠実に、隠し事をせず本音で話す

3適切に、部下の意見を取り入れ、意思決定に参加させる

4親身になってサポートする

5適度に、自分の弱さを見せる

 

フィードバック

フィードバックを求める際は「私はマネジャーとして、どうでしょうか?」といった漠然とした聞き方をせずに、次のような具体的な質問をしてください。

●私は良いマネジャーになりたいと思っています。私が○○(ミーティングの運営、コミュニケーションの取り方、チームの関係性など)を改善するためには、どうすればよいでしょうか?

●あなたが私を最高のリーダーに育てるとしたら、私に何を教えますか?

●私が今、始めるべきこと(やめるべきこと、続けるべきこと)は何でしょうか?

●良いマネジャーになるために、私はどんなことをしたらいいですか?

●チームの結束力を高めるために、私にできることはありますか?

●私とチームメンバーのコミュニケーションの取り方について、何か改善できることはないでしょうか?

 

1 on 1では、部下にポジティブで建設的なフィードバックを提供することが重要です。

部下は、フィードバックから、組織や上司の期待を理解し、自分が期待に応えているのか、どこを改善すべきなのかを考えるからです。

 

フィードバックの研究によれば、世代にかかわらず、ポジティブなフィードバックに加えて、ネガティブなフィードバックも受け入れられる傾向があることが報告されています。(直感的な理解とは反するかもしれませんが)

年齢の高い人ほど、ポジティブとネガティブなフィードバックの両方を強く求めていることを示す知見もあります。

 

フィードバックは、受け手が要求したときに送ると最も歓迎され、効果的なものとなります。

フィードバックは、タイミングよく、適切に、そして具体的に行ってください。

漠然とした内容だったり、評価的になってはいけません。

フィードバックは、部下がコントロールできる行動に限定してください。

コントロールできない行動へのフィードバックは、部下のモチベーションを著しく低下させます。

 

マーシャル・ゴールドスミスによる「10のやめるべき行動」は、優れた上司になるためのあなたのガイドとなるでしょう。

フィードバックの際の指針としてください。

〈10のやめるべき行動〉

1勝つことへの執着:何が何でも勝つ必要があると考える。

2価値観の押し付け:自分の意見を付け加えずにいられないこと。

3破壊的なコメント:不必要な皮肉や辛辣な発言をする。

4怒りにまかせた発言:感情の起伏を利用して注目を集め、他人を誘導する。

5ネガティブな発言:聞かれてもいないのに否定的な考えを述べる。

6情報を隠す:優位に立つために情報を共有しない。

7適切に評価しない:成果や貢献に、称賛や報酬を与えない。

8手柄の主張:自分の成功への貢献を過大評価する。

9反省しない:自分の行動に責任を持たない。間違っていることを認めない。自分の行動がどのような影響を与えるかを認識しない。

10責任転嫁:自分以外の誰かのせいにする。

 

フィードバックを建設的なものにするために、ポジティブな内容とネガティブな内容のバランスを意識してください。

バランスが良ければ、人はフェアに感じて、フィードバックを受け入れるからです。

カリフォルニア大学ロサンゼルス校のバスケットボールチームの偉大なコーチ、ジョン・ウッデンは、選手へのフィードバックでバランスを強く意識していました。

そのフィードバックは、改善点を指摘するメッセージ1件につき、ポジティブなメッセージ3件だったそうです。

また、グラスドア社の調査によれば、褒めることには大きな効果があります。

回答者の53%が、上司からもっと感謝されるなら、その職場の勤務を継続する可能性が高いと回答しています。

フィードバックは、人ではなく行動に焦点を当ててください。

フィードバックする「行動」に対して、あなたがどのように考えているのかを説明し、今後に向けた提案をしてください。

 

改善すべき行動が、長いリストになると、部下はそれに圧倒されて委縮して、やる気をなくします。

部下に改善を求めるときは、特に重要な1つか2つの行動に焦点を当てて、変化を求めれば十分です。

他の行動も、好ましい変化の影響を受けるからです。

 

タイミングも大切です。

即時フィードバックは時間が経ってからのフィードバックよりもずっと効果的です。

できる限り、行動の直後にフィードバックしてください。

時間が経過するほど、フィードバックの効果は期待できなくなります。

 

十分に変化を促進するサポートをしても、部下が変わらずに失敗を繰り返す場合は、その部下のチームからの離脱を視野に入れてもいいでしょう。

そのほうが、部下とあなた自身、そしてチームに良い結果をもたらす可能性があるからです。

 

「〇〇について、あなたの意見を教えてください」と部下に質問してください。

こうした関わり方には4つのメリットがあります。

第一に、部下は解決策をすでに検討して見つけているかもしれません。それを引き出すことができます。

第二に、部下の意見を尊重すれば、部下はリスペクトされている、大切にされていると感じます。

第三に、部下に質問すれば、部下が問題をどのように捉えているのかが分かります。

第四に、人は、自分のアイデアに献身的に取り組む傾向があるからです。

 

メモ

インテル社の元CEO兼共同創設者アンディ・グローブは、メモを取ることについて「書き留める行為は、握手のように実行されるという約束を意味します」と述べています。

 

メモは通常、必須(実行項目。誰が、いつまで、何をするのかを明記。サポートする内容についての約束)と任意(各議題での対話の内容を要約したもの)の2種類の記録から構成されます。

 

私が、ジャック・フリンチャム(博士課程に在籍)と一緒に行った研究では、1 on 1でマネジャーがメモを取ることと、部下が評価したマネジャーの能力には正の相関関係があることが分かりました。

その理由は、メモを取るマネジャーは1 on 1に真剣に取り組んでいると見られるからです。

また、メモを取るマネジャーは、1 on 1で決めたことを実行する意欲や、部下をサポートすると判断されるので、マネジャーの能力が高く評価されます。

さらに、メモを取るマネジャーは、存在感があり、やる気に満ちていて、部下のことを真剣に考えているように評価される傾向もあります。

 

〈ステークホルダーと変化を生み出す方法〉

1重要なステークホルダー(あなたの取り組みに関係する人物、または影響を受ける人物)を特定する。

2あなたの取り組み内容をステークホルダーに伝える。

3最初の2か月間は、定期的に進捗状況を報告し、アドバイスを求める。

4この期間が過ぎたら、次の2か月間のアドバイスを求める。

5 2か月後に進捗状況を再確認し、さらに次の2か月間のアドバイスを求める。このプロセスを繰り返す。

 

このように行動すれば、ステークホルダーはあなたの進捗を確認し、その努力と献身に共感し、強い味方として巻き込むことができるでしょう。

ステークホルダーの助言と連携して行動すれば、あなたは望ましい結果を得やすくなるのです。

あなたが約束を守れなかったときは、正直に認めて、ステークホルダーに謝罪してください。

何が起きたのかを説明し、状況を改善する方法を尋ねて、同じことが二度と起こらないように努めてください。

 

ミーティング

ミーティングは、3つの問い

①「ミーティングに明確な目的があるか?」、

②「目的達成のために、出席者が直接やり取りする必要があるか?」、

③「目的達成のために、それ以上の効率的なコミュニケーション手段がないと言えるか?」

のすべてが「イエス」であれば開催すべきと判断できます。

この3つの問いについて、チーム全員で議論します。

こうしてミーティングの開催にチームの合意を得ることによって、ミーティングの必要性を浸透させることができます。

チームとすべての定期的なミーティングを見直しましょう。

それぞれのミーティングの「廃止」「時間短縮」「頻度削減」の可否を確かめてから、ミーティングごとに、最初から最後まで出席する人、一部の議題にだけ出席する人、後で議事録を送付して情報共有をする人を決めていきます。

この見直し作業にチームメンバーの協力を得るのが難しい場合は、匿名アンケートに答えてもらうのも有効です。

 

〈リーダーに共通する理想・価値観〉

●忍耐強いこと

●寛大で、惜しみなく与えること

●成長し、発展すること

●ポジティブな変化をもたらすこと

●感謝すること

●オープンマインドであること

●他者を高め、助け、支えること

●信頼され、頼りにされること

 

面白かったポイント

これは1on1の教科書として使える。

 

満足感を五段階評価

☆☆☆☆☆

 

目次

序文 マーシャル・ゴールドスミス
序章:本書のビジョン−―1on1を科学的に設計する

<第1部:1on1の準備>
第1章:1on1を行う理由と意味
第2章:1on1の導入を伝える
第3章:1on1の頻度・ペース
第4章:1on1のスケジュールを組む
第5章:1on1の場所を選ぶ
第6章:質問を準備する
第7章:アジェンダの作り方

<第2部:1on1の実践>
第8章:1on1実践の基本
第9章:部下の個人的ニーズを満たす
第10章:1on1の進め方
第11章:1on1で部下がやること

<第3部:1on1の終了後>
第12章:1on1終了後にやること
第13章:1on1を評価する

<第4部:1on1を組織文化にする>
第14章:部下の部下との1on1
第15章:ミーティングの時間対効果の高め方
第16章:1on1と組織の価値観

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