内容
成功や失敗には、マグレも不運も存在しない。
成功と失敗の裏にあるのは、理由と原因だけ。全て数学だ。
上の世代は、職業をたくさん掛け持つと「結局、何がやりたいんだ!一つに決めろ!」と咎めてくるけど、どっこい、やりたいことを掛け持つことや、やりたいことに迷うことは、これからの時代を生き抜く術だ。
お金を払ってくれる人を「ファン」とするのなら、人気タレントにはファンはいるが、認知タレントにはファンがいない。信用がないからだ。
「テレビタレント」と「クラウドファンディング」の相性はすこぶる悪いが、「アーチスト」と「クラウドファンディング」の相性はバカみたいに良い。良すぎる。
共犯者を増やす
これまで僕らは「いかにお客さんを増やすか?」の競争をしてきたけれど、そんなことはしなくてよくて、「作り手」を増やしてしまえばいい。
作り手は、そのまま消費者になるから。
クラウドファンディングは、資金調達のツールではなく、共犯者作りのツールである。
イベントの主催者に黒字が出ないと意味がない。
「えんとつ町のプペル」で生活できる人が増えれば増えるほど、「えんとつ町のプペル」が広まるのだから。
広告を作る時は、自分の手から離れても尚、こういった「広告の連鎖」が自然発生する基盤を作ることが大切だ。
体験+おみやげ
人が時間やお金を割いて、その場に足を運ぶ動機は、いつだって「確認作業」で、つまりネタバレしているモノにしか反応していない。
僕らが「買うもの」と「買わないもの」を線引きする基準は単純明快、「生活する上で必要であるか否か」だ。
「作品」は生きていく上では「あまり必要ない」から、あまり買わない。
しかし、どういうわけか、ついつい買ってしまっている「作品」もある。
「おみやげ」である。
「思い出」にはお金を出すようだ。
「おみやげ」に必要なのは、旅行や観劇といった「体験」だ。
「おみやげ」は必ず「体験」の出口にある。
作品と同時進行で「体験」を作り、その「体験」の「おみやげ」に作品を忍ばせる必要がある。
現時点で、作品を確実に売る方法はコレだ。
広告
一見無料のようだが、その実、マネタイズのタイミングを後ろにズラしているだけ。
入り口を無料にすることで、更に大きな見返りを狙っている。
結論、やるしかない。
何があろうと、自分に時間を使うしかない。
指が変形するまでペンを握るしかない。
無料公開が常識となった今、実力が可視化されるようになった今、一番の広告は「作品のクオリティを上げること」だ。
お客さんの手に届くまでの導線作りも、作品制作の一つだ。
導線作りができていない作品は「未完成品」という認識を持った方がいい。
今の時代、面白い看板があれば写真に撮ってインスタグラムにアップし、政治に意見したければツイッターで呟き、感動したことがあればフェイスブックに書き、日記はブログに書く。
セカンドクリエイターの層が増えに増えた。
これからの時代は、このセカンドクリエイターのクリエイター心をいかに揺さぶるか。
いかに「作ってみたいな」と思わせるか。
広告は「いかに口コミをさせるか」の勝負になってくる。
自分一人で広告をしてはいけない。
「広告させる」ことが大切だ。
いかにインスタグラムにアップしてもらえるかを考えた。
ベストセラーとなった「多動力」の拡散装置も、やはりインスタグラムだったのだ。
インスタグラムにアップしたくなるように、見出しのレイアウトを正方形にしてみた。
確実にヒットを生むには、数十、数百の仕掛けが必要だ。
そして、これらの仕掛けは全て、自分の時間を使った宣伝ではなく、他人の時間を使った宣伝だ。
皆、1500円は持っているのだけれど、本屋には、1500円を出す「キッカケ」がないのだ。
プロモーションからゴッソリ抜け落ちているのは、コミュニケーションデザインと、それともう一つ、「お客さん側の手柄」だ。
僕らは自分のポイントを上げる為に、目の前にいる人を喜ばせている。
自分の為に、プレゼントを買っているのだ。
お客さんを動かす(モノを買わせる)には、「後悔の可能性」を取り除いてあげることが重要だ。
需要を操作するのは難しいけれど、需要を事前に知り、必要な分だけを作ることはできる。
情報と行動
自分の個性というのは編集結果だ。
編集素材たるアイデア(他人の脳ミソ)の待ち合わせ場所になった者勝ちで、では、どういう人間が待ち合わせ場所として重宝されるかというと、とにかく行動する人間だ。
勝負の決め手は脳ミソの数だ。厳密に言うと、体験の数だ。
なんでも一人で完結しようとして、相互補完の流れを断ち切ることのアホらしさよ。
そもそも、一人で完結できる前提で頭を悩ませていることが、おこがましい。
情報は、行動する人間に集まり、更なる行動を生み、また情報が集まってくる。行動の連鎖だ。
面白かったポイント
マーケッター必読の本です。
ここまでお客さんのインサイトを言語化して、売る仕掛けを何層にも用意して、結果を出す。
読んでいてとても興奮するマーケティングストーリーです。
ここまで売るために脳ミソに汗をかいて、圧倒的に行動しているのかと問われている気がして、反省するしかありません。
本の内容はあまりにもきれいにまとまりすぎているので、他にも膨大なトライアンドエラーをしていると思うのでそのあたりも非常に興味が出てくる。
「作り手を増やす」「体験をしてもらう」というのはこれからのビジネスにおける重要なキーワードだと思いました。
満足感を五段階評価
☆☆☆☆☆