内容
〈三分間コーチ〉は、次の〈二つの時間〉をとることを最優先させた、きわめてシンプルなマネジメント手法です。
ひとつは、部下について考える時間をとる。
もうひとつは、部下と的を絞った短い会話をするための時間をとる。
マネージャーのタスク
1 スケジュール管理とタイム・マネジメント
対象となる仕事の完成に必要な要素を細かく分析し、成功するように手を打ち、個々の作業をメンバーに割り当て、その進捗を確認する。
このため、部下がその仕事に力を集中できるよう環境を整え、仕事が予定どおりに進んでいるかについて定期的にレビューする。
2 実施戦略の立案
仕事の優先順位を決める。
部下一人ひとりの能力とスキルを明らかにし、仕事全体を実施可能な状態にする。
3 リスク・マネジメント
仕事上、対顧客上、運営上、生じるさまざまなリスクに備え、できるだけ早い段階で手を打ち、対応する。
4 判断
仕事の進行中に必要な決定を行う。
自分で決められないケースは決定権者に依頼する。
5 部下育成
部門またはチームとしての長期的な仕事を考慮し、必要なスキルを洗い出して、部下に身につけさせる。
と同時に、それがどの程度身についているか、また、実績はどうかという、部下に対する「評価」も行う。
面談リスト
1 基本的な情報(誕生日、趣味、家族構成、これまでの業績)
2 今の状態(体調、人間関係、仕事との相性)
3 仕事のスキル、タスク
4 能力(リーダーシップ、コミュニケーション)
5 適性、キャリア
彼(彼女)は、──
どういうときにストレスを感じているか?
どんな価値観を持っているか?
強みは何か?
仕事から、お金以外では何を手にしているか?
コーチング
コーチングでは、基本的に「アドバイス」はしない、問題解決もしない、ただ、問題とのつき合い方をコーチします。
これにより、部下のそれぞれが、現場で起こることに、毎度上司の指示を仰がなくても自分で対処できるようになるのです。
すると、
アイデア →企画 →決定 →行動までのスピード
失敗からやり直すまでのスピード
指示 →実行までのスピード
ビジョン →戦略 →戦術決定 →実行 →目標達成までのスピード
すべてのスピードが速まります。
その結果、組織全体の目標達成、成長のスピードが速まります。
リアルタイムで情報が共有されるため、つねに新しい情報を取り込みながら、アイデアをアップデートできるからです。
また、かかる時間や計画に誤りがあった場合も、すぐに修正したり、新しい戦略に切り替えることができます。
さらに、結果が早く出ることによって、社員のモチベーションも高い状態で維持されます。
物事が実現するスピードが速いということは、抵抗勢力が生まれてしまったり、サボタージュが生まれてしまう前、みんなのモチベーションが高いうちに実現してしまうということでもあります。
一般に、わたしたちの業務を妨げる、もしくは、そのスピードを遅らせてしまう要因は、次の五つです。
1 優先順位がわからない、間違っている。
2 スキル不足(実行のためのスキルが足りない)。
3 優柔不断(小さな取捨選択を迷って、なかなか決められない)。
4 不安(失敗や自分に対する評価への恐れから、途中経過の開示が遅れる)。
5 モチベーションの低下(たいていは 1〜 4の結果として起こる)。
これらのことはみな早めに、上司に相談する、質問する、要望する、つまり、アウトプットすれば解決する問題です。
ほとんどは簡単なコミュニケーションで解決することです。
ところが、それをしないでひとりでかかえ込んでいたり、いつまでも迷っていたりすると、その間、業務は事実上ストップし、多くの場合、ただ、疲労感・被害者意識がたまっていきます。
当然、モチベーションは低下し、その結果、さらにスピードが落ちます。
で、遅れや問題が外からもわかる状態になったところで、上司が「おいおい」と声をかけ、時間をかけて軌道修正するということになるわけです。
日報は、部下をよく観察すると同時に、それ自体をコーチングのツールとして用いることもできます。
単に上司への報告だけを目的とするのではなく、日報を書くことで、部下が自分の仕事を振り返り、自分とコミュニケーションを交わすところに価値があります。
こうした日報の機能を十分活用するには、上司は返信を怠らないこと。
コミュニケーションを途切れないようにすることが大切です。
話す機会が与えられれば、部下は、懸命に自分の仕事の状態を説明しようと試みます。
人に自分のやっていることを聞かせることができるようになるには、自分がそれについて十分理解していなければなりません。
したがって、話すことを通して、自分の業務についての理解も、自然と深まります。
部下に仕事の進捗を話す機会を与え、そして、提案・要望を伝えることは、部下のモチベーションをあげるのに、もっとも近道のスキルです。
会社という身体に、コミュニケーションという神経が通い、シナプスが増え、みんなが有能になる。
イメージ
「イメージは記憶できないから」
そう、イメージは記憶できないのです。
同じように、「ビジョン」も記憶できません。
サービス
「教えられて、マニュアルどおりにやっているのでは、サービスにはなりません。お客さまは、サービスしてみたいというスタッフの心意気に感動するんです」
WIIFM
「どんなときにでも、 WIIFMが大事だ」と。
WIIFMというのは、「What's in it for me?」の頭文字をとったことば。
日本語にすると、「わたしが手にするものは何?」
成功するカギ
わたしたち──個人も会社も──が成功する鍵は、いかに未来を正確に予測できるかにあります。
そのためには、まず、現状を明らかにすること。
そして、雨にできるだけ早く気づくこと。
できれば、雲行きを見て最初から傘を持って出るなど、先手先手を打っていくことです。
シャドーイング
英語の学習方法のひとつにシャドーイングというのがあります。
これは、「影のようについていくこと」という意味で、英文を見ないで、先生の音読のあと、〇・五秒後ぐらいからすぐについて繰り返すという方法です。
ここで大事なのは、できるだけ先生の発音、リズム、イントネーションなどをまねすることで、おもに、リスニングやスピーキングに効果的な訓練法だとされています。
これと同じように、今、技術の伝授を受ける若手が、ベテラン社員に影のようにはりつき、その一挙手一投足を見逃さずに学んでいくという技術の訓練法が、アメリカの製造現場で用いられています。
日本の造船会社でも、これと共通する手法を取り入れ、団塊の世代の技術者が、マンツーマンで若手の育成に取り組んでいるといいます。
これも〈コーチ型マネジャー〉が行う部下育成法のひとつです。
面白かったポイント
コーチングの考え方についてまとまっています。
コミュニケーション量をいかに増やすか、コミュニケーションを有益にするためにフレームワークを活用することが大事だと理解しました。
組織でも個人でも何かを成し遂げるには、一人では限りがあります。
衆知を集めてより良いものにしていくために、いい仕組みはどんどん取り入れていきたいと思います。
満足感を五段階評価
☆☆☆